名もない希望のペンダント

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「はい。これです」  紗良は袋を取り出した。  すると、ネオの後ろから使いの者が現れ、紗良の袋を確認した。軍服姿の男だった。  使いの者も、人型ではあるが人間ではないことが分かる。人類が乗っ取られているのか、それとも彼らの擬態能力なのか、真実は誰も知らない。 「ネオ様、確認いたしました。ラピスの雫がちょうど100個あります」  使いの者はネオにひざまずき、袋を掲げた。 「ご苦労です」  ネオは袋の中に手を入れると、ラピスの雫をじゃらじゃらと転がした。 「紗良といいましたね」 「はい」  紗良は喉が締めつけられるような緊迫感の中、小さく答えた。 「よくぞ100粒の雫を見つけ出しました。褒美として、どんな願いも叶えてあげましょう。望みをいいなさい」
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