名もない希望のペンダント

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「富裕層の住むフェル区に移住したいです。そして住む場所と、何でもいいので仕事をください」 「たやすい願いです」  ネオは心なしか微笑んだように見えた。 「あ、あと……もう一人連れていきたい人間がいるのですが……良いでしょうか」  紗良は機嫌をうかがうようにネオの顔を見上げた。 「もちろんです。ラピスの雫を集めた者への褒びですからね」 「ありがとうございます」  紗良は膝をついて頭を下げた。ありがとうございます、ありがとうございます、何度も頭を下げた。目には涙があふれていた。
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