名もない希望のペンダント

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「やめて、やめてよ」  紗良は硬い床を背中で感じながら暴れた。だが、使いの者の腕力にはかなわない。 「殺さないで!」 「殺さないわよ」  ネオが紗良の顔を見おろした。 「その代わり、ラピスの雫に関するすべての記憶は消させてもらう」  ネオは薄く光るリングを紗良の頭にかぶせた。 「さーて、記憶を消して再びラピスの雫を集める旅にでも出なさい。一生叶わぬ希望にとりつかれてね。ククククク」 「離してー!」  紗良は使いの者を蹴飛ばし、体勢を整えた。頭にはめられたリングを外そうと手に力を込める。だが外れない。 「それは特殊な装置よ。あなたの頭からラピスの雫に関する記憶がなくなるまでは外れないの」
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