名もない希望のペンダント

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「ダア……ダメ……ヨクナイ……」  言語がおぼつかない少年が目の前にいた。つぶらな瞳で紗良を見つめる。紗良は涙を流した。紗良がラピスの雫を奪った少年だった。 「お姉ちゃんね、もういいの……。もう生きることが辛いの。ねえ、あのときはごめんね。キミのラピスの雫を取ってごめんね。お姉ちゃんがバカだったね」  紗良は鼻水を垂らしながら、少年の頭をなでた。 「サガシテル……サガシテル」  少年は「探してる」と言った。きっとラピスの雫のことだろう。そういえば、初めて会ったときも口にしていた。サガシテル、サガシテルと、何度も。
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