名もない希望のペンダント

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「探さないほうがいいわ」 「アイタイ、ボク、アイタイ」 「会いたい? 誰に」 「ママ……」  少年はズボンのポケットからペンダントを取り出した。 「それは……!?」  ――まさか。この少年は。 「それ、ママからもらったの?」 「ソウ、ママから」  そのペンダントは、息子を教会に捨てるときに、紗良が懐に忍ばせたものだった。 「生きてたのね……ママよ、わたしママよ……」  紗良はしゃくりあげるように泣き続けた。紗良はお揃いのペンダントを取り出した。 「ママ?」  少年は大きな目をパチパチさせて紗良を見上げた。
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