名もない希望のペンダント

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紗良は特殊警棒を抜いた。  目を細め集中する。男の動きを見切る。紗良は迫りくる鉄パイプの軌道を反らした。鉄と鉄が弾ける音が鳴る。一瞬一瞬が命懸けだった。小さな火花が闇にとび散る。 「この女ーーーー!!」  男は咆哮(ほうこう)すると、鉄パイプを乱暴に振り回した。  ふん、闇雲な攻撃などわたしに通じるわけない。紗良はすべてを見切った。  わずかな隙をつき、男二人の脳天に警棒を叩きつけた。うっ……と唸る声とともに気絶すると、男は地面に崩れ落ちた。 「ふぅ……」紗良は大きく息をついた。
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