名もない希望のペンダント

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100粒集めた者には、新政府ジャダより、「すべての望み」を叶える権利を与えられる。ラピスの雫が、最後の希望と呼ばれる所以(ゆえん)だった。  これでやっと、こんな貧しい生活とはさよならできる。富裕層の暮らすフェル区で暮らすことができる。  紗良は景気づけに、かつて新宿と呼ばれていたS区裏通りにあるバーで、一杯やることにした。ドアがはがれた剥き出しの薄暗いバーだ。 「よう紗良(さら)、久々だな。何だか嬉しそうじゃないか」  カウンター越しにマスターが手を上げた。一筋の白髪が流れるオールバックはマスターのトレードマークだ。
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