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私は西洋人形が好きだったの。ブロンドの髪の毛にあの青い目!可愛らしいフリルのいっぱいついたドレスといったら!
両親に与えられたあの日から私は西洋人形に魅入られた.......
長野の山奥にある洋館が私の家です。トッテモ大きくて綺麗なんです。家族3人なのにそんな大きい屋敷が必要か、ですって?もう。お手伝いさんがいるに決まっているでしょう。
と言っても人の出入りは激しくて。エェ。私の気に入らないお手伝いさんは両親が解雇してくれましたわ。
一番最初に解雇したのはねぇ。私の人形に「さん」付けしなかった女。人形の名前?エミリーよ。小公女のエミリー。
そのエミリーさんのことを呼び捨てにして......私は癇癪を起こしました。だって人形には敬意を払わなきゃ。人形に敬意を払わなきゃ使用人の資格なんてなくってよ。
西洋人形は私の部屋にいっぱい詰めてありました。私の一番のお気に入りはそのエミリーさん。その青い目は宝石。すっと通った鼻筋。口元の微笑。カワイラシイそのお顔に一日中見惚れていました。そのうち私は思うようになりました。本物の人形が欲しいって!
なんですか?その顔は。なんですって?こんな暗い部屋で話すことないじゃないか......って?蝋燭に火をつけるのを忘れただけですよ。サアサア。話が聞きたいんでしょう?ならば黙って聞くのが一番......ソウデショウ?
両親を亡くしたのは私が二十歳の頃だわ。確か、交通事故。今となってはわからないですけれど......財産は私の元に全て集まったのです。
そうしてやっとのことで私は本当の人形を手に入れられたのです。
本当の人形......貴方も見たでしょう?
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