第5話『突然の帰郷。美歩、悲しみの再会』

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祭谷「こういうのを何て言うか教えちゃる」    祭谷に目をやる岡田。 祭谷「『嵐の前の静けさ』や」    祭谷、中山、岡田の後ろ姿が夕日を見つめる。 ○古備田病院・病室(夕)    開いた窓から夕日が差し込んでいる。    ベッドに座るすみれが、不安げに美歩を見つめる。    美歩が(医療従事者の白衣をイメージした)踊り子衣装をまとい、両手に鳴子を手にしている。 美歩「行ってくるね」 すみれ「美歩……」    美歩を見つめるすみれ。 ○菜園菜演舞場(夜)    仮設の照明が点灯し、車道をライトアップしている。両側の歩道には、観衆が演舞の開始を待っている。    車道に踊り子衣装鳴の姿。その背後に地方機OBI-1。OBI-1の機体、照明に照らされ光っている。    対峙するように立つ地方機SEN-3。    地方機SEN-3は、救急車と救助用工作車を合体したデザイン。両腕がハサミの形状、胴に(AEDに似た)器械、背中にストレッチャーを背負っている。    歩道で見守る藤間と沙羅。 藤間「支配者がまだだな」 沙羅「きっと怖じ気づいたのよ」    観衆のどよめき。つられて、藤間と沙羅が『おっ』という顔になる。    歩道から出てくる踊り子衣装の美歩。坂東の前に歩み寄る。 坂東「美歩先輩?」    坂東が美歩の手を見る。美歩の手に握られた鳴子。 坂東「(ごまかすように)見に来てくれたんですね。嬉しいです」 美歩「響紀」 坂東「踊り子衣装じゃなくて、よかったですよ」 美歩「違うの」 坂東「でも先輩の衣装、似合ってます」 美歩「聞いて、響紀。私が、菜園菜演舞場の支配者なの」 坂東「そんな。悪い冗談ですよね?」 美歩「冗談じゃない」    美歩が鳴に目を向ける。 美歩「前にも言ったけれど、あなたの鳴子を私に譲って貰えない? 穏便に済ませたいの」 鳴「前にも言ったけど、それはムリ!」 美歩「分かった。ごめんね、響紀」    と美歩、悲しく微笑みSEN-3の前に立ち構える。    音楽とともに始まる美歩の演舞。
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