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すみれの手に写真。病室に踊り子衣装の坂東(15)、花柳美歩(18)、パジャマ姿のすみれ(42)。開いた窓の外に地方機OBI-1の顔が見える。
坂東「菜園菜演舞の時の……」
すみれ「この写真の美歩は、すごく幸せそう」
坂東「僕も先輩と一緒に踊れて楽しかったです」
すみれ「今の美歩は、私の病気を治すために医者になるって頑張ってる。でも私は、あの頃の美歩に戻れたらって、少しだけ思うんだ」
坂東「……」
すみれ「美歩にはもう会った? 今日、土佐に帰って来るの」
坂東「美歩先輩が!」
急に立ち上がる坂東。
すみれ「高校に寄るって言ってた。会いに行ってあげて」
うなずく坂東。
○帯屋町高校・正門前
車が行き交う通り。歩道の人影はまばら。
正門に立つ花柳美歩(19)、校舎を見つめている。美歩の左手にはキャリーバッグ。右手には封筒。
(高校の)郵便受けに封筒を入れようとする美歩の手。
坂東の声「美歩先輩!」
振り向く美歩。歩道に坂東が立っている。
美歩「(驚き)響紀……」
美歩、とっさに右手の封筒を背中に隠す。
駆け寄る坂東。
坂東「先輩!」
美歩「久しぶり」
坂東「先輩に話したいこと、いっぱいあるんです」
美歩、目を伏せながら、
美歩「私も、話したいことがあるの」
美歩、坂東の後ろに沙羅と鳴の姿を見つける。
美歩「ちょっと付き合ってもらえない?」
美歩がキャリーバッグを手に歩き出す。
美歩に続く坂東。
○菜園菜商店街(夕)
片側一車線の道路。両側にアーケード付の歩道が並ぶ商店街。商店街の入口には、門形のゲートがあり、『さえな』の看板が吊り下げられている。
商店街の歩道。立ち止まり、話をする坂東と美歩。
鳴と沙羅が、離れた建物の陰に隠れて、様子をうかがう。
美歩「懐かしい。何にも変わってない」
坂東「ここで演舞したんですよね」
美歩「そう。私と響紀の二人でね」
○(回想)菜園菜演舞場(夜)
照明に照らされた車道。ぶつかる地方機OBI-1とSEN-3。車道、笑顔で踊る美歩。
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