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OBI-1内、同じく笑顔の坂東。
OBI-1に迫るSEN-3。OBI-1が右脚を蹴り上げSEN-3に巴投げを試みる。
が、そのまま押しつぶされ、動けなくなる。
美歩の持つ手の鳴子石にひびが入る。
○もとの商店街(夕)
話を続ける坂東と美歩。
坂東「負けちゃいましたけど」
美歩「でも、本当に楽しかった」
坂東「僕もです」
美歩「時々、思うんだ。あの頃に戻って響紀と踊れたら、って」
美歩が坂東に微笑む。坂東が、頬を赤らめる。
坂東「先輩、時間あります? 色々案内します。学校やOBI-1も見て欲しいし、それに……」
美歩「(遮り)母さんの体調が良くないの」
坂東「……」
美歩「それで、東京の病院で手術することになって、転院の手続きで帰って来たの」
坂東「そうだったんですか」
美歩「だからあまり時間が無くて。ごめんね」
坂東「構いません。お母さん、良くなって欲しいです」
美歩「ありがとう」
と、ゆっくり頷く美歩。
鳴と沙羅が、建物の陰でしゃがんで様子をうかがっている。
鳴「ねえ、なんで隠れてるの?」
沙羅「あの二人には立ち入れない何かがあるのよ」
鳴「何それ、つまんない!」
と急に立ち上がる鳴。
沙羅「ちょっと、鳴!」
立ち上がった鳴に気付く美歩。
美歩「あの子が地方部の踊り子?」
坂東「鳴です。ゆずはら村からの転校生で……」
美歩「響紀の新しいパートナー」
やって来る鳴、美歩の前に立つ。鳴の背後に慌てて来る沙羅。
鳴「演舞の練習があるので、この辺で。行こう響紀」
と鳴が坂東の腕をぐいっと引っ張る。
美歩「私もそろそろ行かないと。人と約束があるの」
坂東「先輩、しばらくいるんですよね。会いに行きます!」
美歩「分かった」
坂東の背中を強引に押し、離れていく鳴。
美歩「踊り子さん!」
鳴、戻ってきて美歩に近づく。
鳴「まだ何か用?」
美歩「(小声で)あなたの鳴子を、私に譲ってもらえない?」
鳴「なんで私がそんなこと!」
微笑む美歩。
美歩「なんでもない……」
去って行く坂東、鳴、沙羅の後ろ姿を見つめる美歩。
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