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○JNGX社・外観
一際高くそびえ立つビル。
○同・会長室
椅子に座る椿姫(23)。
デスクの上に何冊もの古びたノートを広げている。ノートにはスクラップ記事。
記事を見つめる椿姫。
扉の外から日沼佐吉(46)の声。
日沼の声「お待ちください!」
扉が開き入ってくるスーツ姿の祭谷龍馬(28)、中山(29)、岡田(29)。
横に慌てた様子の日沼。
祭谷「こんにちは、椿姫」
日沼「椿様、申し訳ありません」
椿姫「祭谷か。どういうことだ、日沼」
日沼「これは……」
祭谷「JNGX社は、部外監査人を募集しよったやろ?」
椿姫「そんな議題もあったな」
祭谷「正式に選定され、会長様に挨拶に来ました」
祭谷が椿姫に近づく。祭谷が、名刺を取り出し、椿姫に差し出す。名刺には『環境保護組織兼監査法人・海炎隊 隊長祭谷龍馬』の文字。
祭谷「改めまして。海炎隊隊長、祭谷龍馬」
名刺を受け取る椿姫。そのまま名刺を放り投げ、ゴミ箱へ。
椿姫「一体誰の手配でここに来た?」
祭谷が横に避ける。と背後に現れる飯綱湊人(25)。
椿姫「飯綱……」
飯綱「祭谷さんは、当社にとって有益な人物です。必ず椿様のお役に立ちます」
椿姫「(つぶやき)“今回の”裏切り者はお前か。(祭谷を見て)悪いが今日は先約があってな。お前を相手にするヒマはない」
祭谷「まかせちょき。こちらでやっちょく」
椿姫「せいぜい励め。何も見つからんがな」
祭谷が、デスク上のスクラップ記事に一瞥する。
祭谷「そうさせてもらうき」
手を振り出ていく祭谷。続く岡田、中山、飯綱。
○同・廊下
歩く祭谷、岡田、中山、飯綱。女性とすれ違う。立ち止まり振り返る祭谷。
岡田「祭谷さん?」
祭谷「きれいな人や!」
飯綱「新たに着任した支配者です」
中山「珍しいですね」
祭谷「何が?」
中山「祭谷さんから『面白そう』以外の言葉が出てくるの」
笑う祭谷。
祭谷「もちろんそれも込みの意味やきね」
キャリーバッグを引き、(会長室へ)歩く女性の後ろ姿。
○同・会長室
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