第5話『突然の帰郷。美歩、悲しみの再会』

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   椅子に座る椿姫。室外から女性の声。 女性の声「失礼します」    キャリーバッグを手に入ってくる女性の後ろ姿。 椿姫「東京からよく来た」    立ち上がる椿姫。 椿姫「演舞は予定通りに進める」 女性「はい。代わりに、母の転院の手配をどうかお願いします」    頭を下げる女性、ゆっくりと顔を上げる。椿姫を見つめる美歩。 ○帯屋町高校・校庭    校庭にチャイムが響く。 ○同・教室    帰宅する生徒達。坂東が、教科書を鞄に仕舞う。その側に沙羅。    入ってくる藤間修次(29)。手には封筒。 藤間「坂東、いるか」 坂東「先生?」 藤間「届いたぞ。演舞の挑戦状だ」    藤間から封筒を受け取る坂東、挑戦状を開く。坂東の側でのぞき込む沙羅と藤間。    挑戦状。『坂東響紀様』から始まる丁寧な文字が書かれている。    挑戦状の末尾に『菜園菜演舞場 支配者』の記載。 沙羅「菜園菜演舞場? 地方部との演舞以降、不在じゃなかったっけ?」 藤間「新しい支配者が就任したって噂だ」 沙羅「きれいな字。女性の支配者かな?」 坂東「菜園菜演舞……」    ハッとして立ち上がる坂東。挑戦状を手に廊下へ駈け出す。 沙羅「どこ行くの? 響紀」 坂東「(立ち止まり)美歩先輩に報告しないと!」    扉の前、鳴と鉢合わせになる坂東。 坂東「っとごめん、鳴。急ぐから!」    出て行く坂東。首をかしげながら入ってくる鳴。 鳴「どうしたの?」 沙羅「新しい演舞が決まったのよ」 鳴「いつも私に話してくれるのに。今日はおいてけぼり?」    鳴、坂東の去った方を見つめる。 ○市内・汽車通り    歩道を走る坂東。 坂東(M)「今度こそリベンジするんだ!」     ○古備田病院・外観(夕)    古い病棟が夕日で染まっている。 ○同・病室(夕)    ベッドに座るすみれ。立ったまますみれと向き合う美歩。病室の扉は開いている。 すみれ「なんで坂東君と争うの? 美歩は坂東君が大切じゃないの?」 美歩「大切だよ。でも、母さんの命がもっと大切なの!」
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