第5話『突然の帰郷。美歩、悲しみの再会』

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すみれ「あなたが本当に望んでいるとは、私には思えない」 美歩「もう決めたことだから」 坂東の声「美歩先輩!」    坂東が廊下に立っている。息を切らした坂東、手には挑戦状。 美歩「響紀……」    美歩、驚き、言葉を失う。 美歩「ちょっと出てくる。(坂東へ)来て」    去る坂東と美歩。見送るすみれ。 ○同・中庭(夕)    夕日が沈みかけ、辺りをオレンジ色に染めている。    歩いてくる坂東と美歩、立ち止まる。 坂東「菜園菜演舞が決まりました」 美歩「そう」 坂東「先輩との演舞では勝てませんでした。でも今度こそ、必ず勝ちます」 美歩「……」 坂東「だから今週末の演舞、見に来てもらえませんか?」 美歩「私、響紀に伝えないといけないことがあるの」 坂東「?」 美歩「実は私が、菜園菜演舞場の……」    言いかけてやめ、首を横に振る美歩。 美歩「なんでもない。菜園菜演舞、響紀になら、きっと勝てるよ」    笑顔になる坂東。 美歩「必ず見るから。一番良い場所で」 坂東「はい!」    夕日が沈んでいく。 ○帯屋町高校・教室    お弁当を広げる生徒達。    机を付け、椅子に座る沙羅と鳴。お揃いのお弁当を広げている。    鳴がちらっと坂東の机を見る。坂東の姿は無い。 鳴「響紀は?」 沙羅「地方機の整備があるって」 鳴「そうなの?」    鳴が無言で坂東の机を見つめる。 ○同・地方部倉庫    ツナギ姿の坂東。OBI-1の足元に入り、仰向けで整備している。    スパナで締める坂東。そのお腹がグーッと鳴る。 坂東「このくらいガマンだ」    坂東が首を横に振る。 ○同・廊下    モップを持つ坂東が沙羅の前に立つ。 坂東「地方機の調整があるから、掃除当番お願い!」 沙羅「もう、仕方ないわね」 坂東「ありがとう」    とモップを渡し、走り去る坂東。 ○同・校庭(夕)    夕日が沈みかけている。校庭に生徒の姿は無い。 ○同・地方部倉庫(夕)    制服姿の鳴と沙羅が立って、地方機を見上げている。    地方機のコクピットで作業する坂東。
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