第5話『突然の帰郷。美歩、悲しみの再会』

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沙羅「もう帰ろうよ、響紀。先生に怒られるよ」 坂東「明日が本番だからもう少しやってく。先に帰ってて」 沙羅「頑張るのも大事だけど、ほどほどにね」    倉庫の照明を消す沙羅。鳴と沙羅が出て行く。    コクピットの中、小さな灯りの下で黙々と作業を続ける坂東。    ×  ×  ×    灯りの消えた倉庫。倉庫内は、暗闇に包まれている。壁掛け時計の針が八時五〇分を指している。    灯りの点いたコクピット内。腕で額の汗をぬぐう坂東。顔が汚れている。 坂東「できた」    坂東が写真を取り出し、コクピットの左隅に貼り付ける。笑顔で映る坂東、美歩、すみれと地方機OBI-1の写真。 坂東「見ててください。先輩」    坂東が写真に微笑む。 ○JNGX社・監査室    デスクを囲み座るスーツ姿の祭谷、中山、岡田。    祭谷、机に脚を投げ出し、椅子にもたれ眠っている。 岡田「祭谷さん」    祭谷、目覚める。 祭谷「すまん。寝よった」 岡田「そろそろ監査っぽいこと、した方がよいのでは?」 中山「それに地方機を手に入れる手はずは?」 祭谷「まあまあ。ヘビに睨まれたカエルは動けんちや」    祭谷、何かの気配に気付き、窓際に飛びつく。窓の下、高級車に乗り込む椿姫の姿。 祭谷「ヘビはお出かけみたいやね。じゃ、やろか!」 岡田「やるって、何を?」 祭谷「監査に決まっちゅう」    祭谷がデスク上の固定電話の受話器を取り、ボタンを押す。 祭谷「ああ、飯綱くん。案内してもらえんがか?」    祭谷を見つめる中山と岡田。 祭谷「どこへ、って?」    祭谷がネクタイを緩め、作務衣を羽織る。    祭谷が、薄ら笑いを浮かべる。 祭谷「椿姫の地方機の場所へ」 ○同・倉庫(夕)    暗い倉庫内。照明が点灯する。歩いてくる祭谷、中山、岡田、飯綱。 飯綱「椿様の説得、任せて良いんですね?」 祭谷「もちろん。その前に椿姫のこと、もっと知らんとね」    立ち止まり、見上げる祭谷。    祭谷、中山、岡田、飯綱の前に椿姫の巨大な地方機。 岡田「あれが椿姫の地方機」
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