第5話『突然の帰郷。美歩、悲しみの再会』

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飯綱「すべての地方機の原型(モデル)と言われる地方機です」    祭谷が地方機の胴部分を指さす。 祭谷「あそこに人が乗るが?」 飯綱「椿様の地方機は、オートPA。椿様の単独操作でコックピットはありませんよ」 祭谷「コクピットが無いって誰か、見たが?」 飯綱「いえ、我々も調査しましたが、椿様の地方機は、動力源・動作機構一切が不明で……」 祭谷「じゃあ、確かめんと」    祭谷、地方機の掌に飛び乗り、軽やかに登っていく。    胴体に貼り付く祭谷。観察するが、地方機に隙間はない。 祭谷「やっぱり中は見えん。諦めるわー」    と突然、懐からナイフを取り出し、地方機の接合部に突き立てる。 祭谷「ってそんなわけないやろ」    ナイフが刺さった部分、徐々に開いていく。隙間をのぞき込む祭谷。隙間の奥に文字が書かれている。文字『……には1.21ジゴワットの電力が必要』。 祭谷「1.21ジゴワット?」    地上から見上げる飯綱、中山、岡田。    背後にある地方機の手がゆっくりと動き出す。    突然、地方機の二本の手が祭谷を叩き潰そうとする。 中山「祭谷さん!」    ギリギリで避ける祭谷。 祭谷「危なっ!」    別の腕が祭谷を捉えようと狙うが、軽やかに腕の上を走り、地上へ降りてくる。 祭谷「急に動かしたら危ないやろ。椿姫」    祭谷の視線の先に、鳴子を手にした椿姫。 椿姫「去れ。次にこの場所に立ち入れば、命はないぞ」 祭谷「おお怖っ。じゃ、行こか」    去って行く祭谷、中山、岡田。椿姫をちらっと見て去って行く飯綱。 ○セントラルパーク(夕)    JNGX本社が夕日で輝いている。    公園内を歩く祭谷、中山、岡田。 笑顔の祭谷。 岡田「機嫌が良さそうですね、祭谷さん」 祭谷「椿姫の地方機の秘密が一つ分かったきね」 中山「秘密?」 祭谷「あの地方機は、観衆のエネルギーを必要とせん。あの地方機、ますます欲しくなった!」 岡田「あんな目にあったのに。懲りませんね」    岡田が夕日を見つめる。 岡田「それにしても、良い夕焼けですね」 祭谷「ちがうちがう」 岡田「?」
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