1人が本棚に入れています
本棚に追加
飯綱「すべての地方機の原型と言われる地方機です」
祭谷が地方機の胴部分を指さす。
祭谷「あそこに人が乗るが?」
飯綱「椿様の地方機は、オートPA。椿様の単独操作でコックピットはありませんよ」
祭谷「コクピットが無いって誰か、見たが?」
飯綱「いえ、我々も調査しましたが、椿様の地方機は、動力源・動作機構一切が不明で……」
祭谷「じゃあ、確かめんと」
祭谷、地方機の掌に飛び乗り、軽やかに登っていく。
胴体に貼り付く祭谷。観察するが、地方機に隙間はない。
祭谷「やっぱり中は見えん。諦めるわー」
と突然、懐からナイフを取り出し、地方機の接合部に突き立てる。
祭谷「ってそんなわけないやろ」
ナイフが刺さった部分、徐々に開いていく。隙間をのぞき込む祭谷。隙間の奥に文字が書かれている。文字『……には1.21ジゴワットの電力が必要』。
祭谷「1.21ジゴワット?」
地上から見上げる飯綱、中山、岡田。
背後にある地方機の手がゆっくりと動き出す。
突然、地方機の二本の手が祭谷を叩き潰そうとする。
中山「祭谷さん!」
ギリギリで避ける祭谷。
祭谷「危なっ!」
別の腕が祭谷を捉えようと狙うが、軽やかに腕の上を走り、地上へ降りてくる。
祭谷「急に動かしたら危ないやろ。椿姫」
祭谷の視線の先に、鳴子を手にした椿姫。
椿姫「去れ。次にこの場所に立ち入れば、命はないぞ」
祭谷「おお怖っ。じゃ、行こか」
去って行く祭谷、中山、岡田。椿姫をちらっと見て去って行く飯綱。
○セントラルパーク(夕)
JNGX本社が夕日で輝いている。
公園内を歩く祭谷、中山、岡田。
笑顔の祭谷。
岡田「機嫌が良さそうですね、祭谷さん」
祭谷「椿姫の地方機の秘密が一つ分かったきね」
中山「秘密?」
祭谷「あの地方機は、観衆のエネルギーを必要とせん。あの地方機、ますます欲しくなった!」
岡田「あんな目にあったのに。懲りませんね」
岡田が夕日を見つめる。
岡田「それにしても、良い夕焼けですね」
祭谷「ちがうちがう」
岡田「?」
最初のコメントを投稿しよう!