私たちは友達です

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(ふー、びっくりした。それにしても、どうなの?9つ下?) びっくりしつつも、まだまだ私も捨てたもんじゃない。などと、少々浮かれ気味な未華子。玄関のドアをいつもの通り開けて、 「お帰りー。」 「うわ、びっくりした。」 (忘れていた。裕二のこと) 「遅かったな。バイトなのに。なんかあった?」 「いや、裕二のことすっかり忘れて、本屋寄ってたわ。」 「なんだよー、ほんと、お前は冷たいヤツだ。俺なんて今日メシ作って待っててやったのに。」 「ありがと。でも、料理とかイメージないわ~。」 「まあ、ゆうても一人暮らし長いしね。ずっと外食だったけどさ。最近自炊も始めちゃってたんだよ~。実は。ってことで、まあ、定番のカレーですけど。」 「でしょうね。」 カレーの匂いが充満している。とりあえず、帰ってすぐにご飯・・を喜びたいところだが、さっきラーメン食べたばかり。 (さてどうするか。しっかし、この犬みたいに人なっつこい顔で見られると、いらんとも言えないか・・。) 「せっかくなんで、食べてやるかー。」 「そういう言い方、可愛くないよ。もっと、ホントに!うれしい!!ってテンション上げられないもんかねー。だから、すぐ振られんだよ。」 「余計なお世話。っていうか、修羅場なのそっちでしょーよ。」 「あっ、そうだった。つい、安全確保したんで、忘れかけてた。でも、変わらず着信は続いてるけどねー。」 「ねえねえ、その人さあ。会社に来たりとか、会社で待ち伏せとかないの?」 「それはないと思うけどなあ。」 「でも、知ってるんでしょ?」 「まあ。」「じゃあ、今後は、尾行されてないか、気を付けて帰ろう。」 「ってか、いつまで居る気よ。」 「着信なくなるまで。彼女が諦めてくれるまで。」「かな?」 「もう、かな?じゃないよ。」 「・・・」 「何、急に黙っちゃって。」 「あっ、カレー美味しい。美味しい。」 「裕二が作ってくれたから、ほんと助かったー。」 「・・・」 「だから何?」 「あっ、いや、空気になるって言ってたこと思い出したんで。」 「もう!何いってんのー。面倒くさいやつ。」 (なんか、久々だな、こういう感じの家。一人暮らしは気楽だけど。たまにはこんな時間も悪くない。)
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