私たちは友達です

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「割と出来るようになったわね。」 「ありがとうございます。」 「来週。もう一人アルバイト来るから。」 「あっ、そうなんですか。」 「今度は、私の代わりやれる人ね。でも、あなたが電話やっても、いーかもね。ただまあ、メール打つの結構早いから、どっちがいーかわかんないけど、次の人がどんな人にもよるか。」 今日の局ちゃんは、意外とご機嫌なのか、いろいろと話しかけてくる。だけど、気分のムラがひどいから誰も話しかけたがらないし、話しかけないで欲しいと思っているだろう。 クレーム対応なんて、ひどいもんだ。のらくらと相手の言うことをはぐらかす感じ。あんなんでいーのか?っと、ハラハラする。たまに、どうにもならなくなった時に、クレーム担当、東さんが溜息付きながら登場する。こじらせ過ぎて、後はひたすら謝るのみ。クレーム担当というより、謝り担当ね。 ウエブ担当のアシスタントといわれていた米川さんが、辞めるらしい。まだ一年目らしいけど、ここんとこ、お昼休みに、愚痴しか言ってなかった。錦田さんはいい人らしいけど、局ちゃんがどうやらダメ出し。それを、そのまま受け入れちゃうもんだから、やってられない!と怒り心頭。そりゃ、辞めた方がいーよー。ウエブデザインやらせてもらえる会社なんていくらでもあるでしょー。と、無責任に言っちゃったけど、良かったのかな。 「美咲ちゃん(米川さん)ほんとに辞めるの?。」 「はい。木戸さんのおかげです。親にはせっかく就職したのに、って、頑張りなさいって言われてたんですけど、約一年、よくよく考えたら、ここでやれるよーになったことなんて、たかがしれてるんですよ。なんか、それ考えたらやっぱり時間がもったいない気がして。社員ったって、たいした給料もらえてないし、他探そうって思ったら、意外と直ぐに見つかったんです。」 「良かったね。今度はもっと、いろいろ自由にデザインさせてもらえるといーねー。」 「はい。まあ、私なんてまだまだ出来ることのほうが少ないですけど、頑張ります。木戸さんも、こんなとこでバイトするの辞めた方がいいですよ。他の人達も言ってたと思うけど、アルバイト、ほんとに全然続かないんですよ。しばらくは、人がずっと、繰り返し入ってきますけど、あんまりずっと募集し続けると感じ悪いからって、ぴたっと止めるんです。で、そのしわ寄せがあの有田さんにいくんで、有田さんも定期的に病むらしいです。」 「なるほどねー。」 「でも、木戸さんは今まで来た人達とは全然違います。ほんと、こんなとこでバイトなんてもったいないですよ。家庭の事情とかですか?」 「私?ううん、結婚してないし、一人暮らしだし。」 「えっ、そうなんですか?」 「そう、気ままな生活してんの。まあ仕事はちゃんとするけどね。飽きっぽいとこもあるから、いろいろやってみたくはなるんだよ。」 「ふーん、そんなもんですか?じゃあ、職種もいろいろですか?」 「そうだねー、割といろいろかも。ここに来る前は、出版社にいたよ。」 「へえー。」 「だから、文字打つのだけは得意。素人記者ではあったけど、仕事で記事書いてたからね。」 「へえ、すごい。どんなの書いてたんですか?」 「これもまたいろいろ。料理の先生とこで取材してレシピ書いたり、不倫取材で実話書いたり、私が、主婦じゃないのに、主婦向け雑誌やってたから〜。主婦が好きそう?ってのを想像で!!」 「楽しそう!」 「まあ、書くのは結構楽しいよ。」
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