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「よろしくお願いします。」
なんとも、また、頼りになさそうな人が来たな。こりゃ、局ちゃんに撃沈させられるな。
新しいアルバイト、局ちゃんの指導が目の前で行われる。相変わらず、ひどい教え方だ。
「だから、これにここ、ID打ち込むって言ったでしょ!」
「それは、そこから」
そう言うと棒で、パソコンのモニターをカンカン叩く。そのうちあの棒で叩かれそうだわ。怖っ。
電話が鳴り、局ちゃんが電話に出た。
「ありがとうございます。ライフコールセンター三原です。」
その間も、隣に棒指図。ある意味すごい、声はハイトーンでしゃべりながら手はイライラしたように、カンカン。
「かしこまりました。今お調べしますので、少々お待ち下さい。」
と、電話を保留にした瞬間。
「顧客管理開けっていってるでしょ」
「これ、入力して。」
モタモタする、新人アルバイトを横目に、
「白井様、大変申し訳ありません。お届けについては、現時点でも、確定しておりません。実は、船便の遅れが発生しておりましてー、つい今の情報なのですが、予定が2週間は遅れそうで。ご連絡はこの後行う予定でしたが、キャンセルを承ることも可能です。大変ご迷惑をおかけして申し訳ございません。もちろん、このままお待ち頂くことも可能ですが、いかが致しましょうか。」
「はい。申し訳ございませんでした。それでは、本日、キャンセル処理させていただきます。」
電話を切ると、後ろの有田さんに、無言でメモを渡す。キャンセル処理の手続きをするようにということ。
すぐに、新人さんに向かって、
「あのさあ、顧客管理システムすぐ開けってなんでわかんないわけ?」
と、なかなかの無茶振り。まあ、確かに私の時と違って、一応始まるまでの時間に、対応のパターンとか、電話の出方とか説明はしてたけど、いきなり棒で画面叩いてわかれって方が、無理じゃない?
たぶんだけど、あまり働いた経験がないんじゃないかな。って見てても思う彼女。そんな女性を相手に、いきなりすぎる。
それに、今の電話。適当な対応。船便が予定どおり入るか入らないかなんて確認もしていない。今日は、面倒くさいから、キャンセルするならどうぞ。と言ってしまう。クレーム対応のパターン2だ。のらくらと、話をはぐらかす、パターン1と、とりあえずキャンセルさせるパターン2。この会社マジでヤバイな。
「ねえ、木戸さん。」
「明後日も新しいバイト来るんだけど、辞めるあの子の代わりにするか、あなたの代わりやってもらって、あなたが、ウエブサポートするか、って考えてるんだけど。社長から聞いたよ。ウエブも作れるんでしょ。」
「ええ。まあ、経験はありますけど。」
「明後日来る子はさ、任せるから適当にやってくんない?」
「適当に、、ですか?」
(うーん、面倒なことになったな。)
ウエブ担当の錦田くんが夕方声を掛けてきた。
「あのー、木戸さん。もしよかったら木戸さん僕と一緒にウエブやりませんか?」
「うーん、でもなー。ここではそんなことやるつもり無かったんだけど。」
「でも、ここ、息詰まりません?」
「ウエブやるのに、撮影倉庫が別のところにあるんすよ。たまに、出かけられるし、息抜きになるっすよ。」
「なるほどねー。」「でもさあ、結構遅くまで美咲ちゃんもやってたよねー?バイトは残業できないよ。」
「まあ、局ちゃんの意地悪だよ、あれ。」
「なんで、守ってやんなかったの?」
「そう言われちゃうと困るけど、局ちゃんに逆らったら面倒だからさ。」
「頼りないなー。そんな人と一緒に働けないや。」
「う。はっきり言うなー、木戸さんは。」
「仕事はちゃんとする。人によって態度変えたりするのは嫌いなの。」「無駄な仕事もね。」
「すいません。でも、今日来たバイトの人、たぶん辞めちゃうから、実際どうなるかはわかりませんよね。『米川さんの代わりって、あんたホントに必要なの?』って言われてるし。僕も困ってるんですよ。」
「りょーかい。考えとくわ。」
なんで、バイトの私が、こんな面倒に巻き込まれなきゃいけないの?そう思いつつ、未華子は、明後日来る人の指導係。週3バイトの私が、そんなことに、関われるのか?ついつい既にどうすればいいか、頭が回転し始めていた。
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