私たちは友達です

7/23

32人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
2日後、出勤すると、 「やっぱり来なかったです。」 と、錦田くんが教えてくれた。 どうやら、アルバイトさんは、次の日無断で来なかったらしい。 「かわいそうにね。」 と、だけ応えた。名前も知らないままのその女性を、気の毒に思う。 「始めまして。木吉です。」 今日やって来たのは男性だった。アルバイト?人のこと言えないけど、珍しいな。そんなに、若くもない。 「木吉さん、じゃあひと通り、まず説明しますね。良かったら、メモ取りながらで、ゆっくり説明しますから。」 とりあえず、何を任せることになってもいいように、全体的な話を始めた。それぞれの担当者に彼を紹介しながら、まあ、小さい部屋なので、全体で言えばいーようなものだったけど、あえてひとりひとり挨拶しつつ話をして回った。 思わず笑い声を上げると、局ちゃんが、声を出す。 「うるさいよー電話鳴ったらどうすんの?」 「すいません。」 と、慌てて謝る。ついでに、『コールセンターは10時スタートだから。基本それまでに、準備。』なので、この時間に電話がなることは、まあない。局ちゃんは、きっと、私が楽しそうにしてるのが気に入らないんだろう。ただ文句言いたかっただけ。とは、流石に木吉さんには言わなかったが。『メール担当の木吉さんは、朝から対応することになるけど、コールの可能性もあるかも。』と、小さな声で言うと、『無理無理。電話対応なんて出来ない。』と、さらに小さな声で言う。 (はー。もちょっと、まともな人いないのかしら。) 社長が珍しく午後から自分の部屋にいる。社長に呼ばれた未華子は、『正直、なかなか大変な人達ですね。』と伝えた。 「そうなんだよ。僕も困ってる。」 「社長不在が多すぎるのでは?」 「まあ、でも僕がここにいたんでは、何の商談も進んでいないってことだからねえ。」 「そうですよね。」 バイトに、来始めて2ヶ月が過ぎ、なんとなく様子が分かってきていた。 「君、週5の出勤で対応してもらえないか。」 「単なるバイトに何求めてるんです?」 「能力をあえて隠すことはないだろう?」 「何の能力があると?」 「うまく、つきあってる、あの連中とな。」 「まあ。でも、たぶん中原さん以外は仲良くやってますよ。時々飲み会なんかもやってるみたいですから。」 「そうなのか?」 「ええ、会社内では、ほぼしゃべらないですけどね。様子伺ってると、不思議な、団結力はあるみたいです。」 「そうか。」 「中原は、あんなだけど、この会社を始めた頃から頑張ってくれてる。彼女を外せば簡単なんだが、なかなかな。」 (個人的関係があるのか聞きたくなったが、ぐっと堪えた。)
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加