私たちは友達です

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「裕二、どうしたの?」 「ごめん、急に。ちょっと今日泊めてくれないか。」 「ウチに?」 「そう。」 「なんかあったの?」 「行ってから話すよ。」 「分かった。」 「どのくらいかかる?」 「一時間後かな」 「わかったよ。」 ウチに来た裕二は、雨に打たれて濡れていた。 「ちょっと傘がないなら言ってよ。迎えに言ったのに。」 「いや、バイクで来たんだ。」 「そう、バイクで一時間って、いったいどっから来たの?」 「彼女んち」 「あー、そう」 「で、なんで、ここに。」 「いや。まあ、いいか、とりあえずシャワー浴びる?そんなびしょ濡れじゃ。」 「ああ、ごめんな。」 裕二がこの家に来たことは、これまでも、何度かあるが、夜に、しかもこんな時間に来るなんてことは、始めてだ。いったい何が、あったんだろう。 「ふー、ごめんごめん、ホント。」 「いーけど、で、どうする?もう遅いし、何か食べるとか、欲しいものある?」 「いや、眠れれば、それでいー。」 「そー、じゃあ、こっちの部屋使って。」 「相変わらずきれいにしてんな。」 「明日、仕事は?」 「ああ、休む。」 裕二の親は会社の経営者。彼は3年前からなんとなくその会社で仕事している。会社でも自由な身分なんだろうなあ。あっ、モテルのそのせいか! とりあえず、寝よ。私も、明日が休みで良かったよ。 翌日、未華子はいつもの通り、目覚め、起き出した。休みの日でも、割といつも通りに起きることが多い未華子。裕二のことは、気にもとめず、朝のルーティンを始める。 「お前って、なんかちゃんと、してんのなー。」 「何、急に。」 「いや、仕事、ころころ変えて、大丈夫かよ、そんなんで、って思ってたけど、朝からちゃんと起きて、ちゃんとしてる。って、今日仕事?」 「人の迷惑も考えないで、何言ってるの。仕事はラッキーなことに休みよ。休みの日でもちゃんとしてるよ。悪い?」 「いや、すげーなー。」 といった割に、「俺、もちょっと寝ていー?」と、返事も待たずにまた布団に戻ってしまった。 「はーなんなんだろ、めんどくさい。」 未華子は自分の時間を邪魔されるのが嫌いだ。
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