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「えっ! そんなぁっ。そこまですることはないでしょ」
「鈴穂が成績悪なった原因は、絶対あれのせいやもん」
「それは全然関係ないって」
「大いにあります! 高校入ってからはますます重症化してもうとるで、あんた。勉強時間だって中学の時よりもだいぶ減ってもうとるやろ」
「……中学の時とは〝母集団〟が違うでしょ。私が通ってる高校、勉強出来る子ばかりが集まって来てるんだから、私の順位が相対的に落ちてくるのは当たり前でしょ。
「見苦しい言い訳ね。中学の頃は鈴穂とそんなに大きくは成績変わらんかった伸実(のぶみ)ちゃんは、今回は鈴穂よりずっとええ点取ってたみたいやから学年順位もけっこう上位やろ?」
焦り顔で弱々しく反論する鈴穂に、母は得意げな表情で訊く。
「確かに。今回も総合十六位だったし。でも伸実ちゃんは私とは地頭が違うから。難易度が中学の時とはわけが違う高校のテストでは大きく差がついたのは仕方ないことだと思うんだけど……」
鈴穂は迷惑そうに振る舞い、個人成績表を取り返すと足早にリビングから逃げていった。
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