0人が本棚に入れています
本棚に追加
伸実ちゃん、フルネームは光久伸実。鈴穂のおウチのすぐ近所、三軒隣に住む同い年の幼馴染だ。学校も幼小中高ずっと同じ。お互い同じ高校を選んだのは、家から一番近いそれなりの進学校だからというのが最たる理由だった。
私、本当にそろそろ本気で勉強しないと近大ですら入るの無理になっちゃいそうだよね。
鈴穂が一応は反省しつつ階段を上っている途中で、
ピンポーン♪ と玄関チャイムが鳴り響いた。
「はーい」
母が玄関先へ向かい、対応する。
「こんばんはー」
訪れて来たのは、伸実だった。噂をすれば影がさすのことわざ通りだ。
丸顔ぱっちり垂れ目、細長八の字眉。ほんのり栗色な髪を小さく巻いて、フルーツのチャーム付きシュシュで二つ結びにしているのがいつものヘアスタイル。背丈は一五五センチくらいで、おっとりのんびりとした雰囲気の子なのだ。学校がある日は毎朝八時頃に鈴穂を迎えに来てくれて、いっしょに登校している。さらに芸術選択で共に書道を選んだのが功を奏したか、クラスも今は同じである。部活は違うので帰りは毎日いっしょってわけでもないけれど。
「こんばんは伸実ちゃん、困った顔してどうかしたのかな?」
最初のコメントを投稿しよう!