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 荒野の一点に光が集まる。  絢爛豪華な『ルエブン・ヘメル(うるわしの都)』を治めるのは、神々しい美しさと知性を備えたスペリア(上位者)たち。  同じ街に住んでいるリコたち「インフェリア(下位者)」は、上位者に姿が似ている。けれど容姿の美しさや寿命の短さなど、種としての能力は、スペリアよりも格段に劣っていた。  インフェリアは社会的にも弱者だ。貴族であるスペリアに生殺与奪(せいさつよだつ)の権利を握られており、奴隷の扱いを受けていた。  ほとんどのインフェリアは大人になる前に亡くなってしまう。そのなかでリコは運良く20歳を迎えることができた。  しかし成人したインフェリアは全員、過酷な試練を受ける。都市の処理場に集められてまもなく、その残酷な儀式が始まる。
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