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「見苦しい言い訳ね。森優(もゆ)ちゃんは新入生テストの頃から、今でも相変わらず高得点を維持し続けてるでしょ?」
困惑顔で弱々しく反論する昇子に、母は得意げな表情で反論し返す。
「確かにそうだけど。森優ちゃんは、私とは地頭が違うの」
昇子は迷惑そうに振る舞い、数学の答案を取り返すと足早にリビングから逃げていった。
森優ちゃんとは、三軒隣に住む同学年の幼馴染だ。フルネームは安福森優。森優も昇子と同じく西高=県立松葉丘西高校を第一志望にしている。二人ともその最たる理由はごく単純、家から一番近いそれなりの進学校だからだ。二人が通う鴎塚中学の通学区域内に立地していることもあって、他の鴎塚中生にとっても人気の進学先となっている。
確かに定期テストの数学でさえこの点数じゃ、西高は難しいよねぇ。
昇子は答案を眺めつつ苦笑いを浮かべながら二階の自室に足を踏み入れた。
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