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「ふふふ。それじゃあその結果が出るまで申し込むのを一応待っててあげるわ。どうせ無駄やろうけど」
「ママァ、少しは期待してよ」
昇子は母とキッチン横のテーブルで朝食を取りながら、こんな楽しくない会話を弾ませていた。父は毎朝七時頃には家を出るため、昇子の平日朝食時はいつも母と二人きりなのだ。
まもなく八時になろうという頃、ピンポーン♪ と玄関チャイムが鳴らされ、
「おはようございまーす」
一人のお客さんが訪れてくる。
森優ちゃんだった。学校のある日は毎朝、この時間くらいに昇子を迎えに来てくれる。
面長ぱっちり垂れ目、細長八の字眉、丸っこい小さなおでこがチャームポイント。ふんわりとしたほんのり茶色な髪を小さく巻いて、アジサイ柄のシュシュで二つ結びに束ねているのがいつものヘアスタイル。背丈は一六〇センチくらいで、おっとりのんびりとした雰囲気が感じられる子なのだ。
「おはよう森優ちゃん、今日から夏服なのね」
「はい、暑くなって来たので」
昇子の母に身なりをまじまじと眺められ、森優はちょっぴり照れくさそうにする。
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