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昇子達の通う学校では今、制服移行期間中だ。森優は昨日まで着用していた女子用冬服である濃紺色セーラー服から、夏用の半袖ポロシャツと水色吊りスカートへと衣替えしていた。
昇子はまだセーラースカートに春秋冬兼用長袖白色ワイシャツを着ていた。
ちなみに男子用冬服は真っ黒な詰襟学生服だ。
「あの、おば様。昇子ちゃんの成績をあまりアップさせられなくてごめんなさい。わたしの教え方が悪かったみたいで」
森優は昇子の母に向かってぺこんと頭を下げた。
「森優ちゃんは全然気にしなくていいのよ。相変わらずテスト前でもジャ○プやマンガばっかり読んで勉強サボった昇子が悪いんやから」
自責の念に駆られている森優を、母は笑顔で慰めてあげる。
森優はとても心優しい子なのだ。
……ママ、私、ジャ○プは一冊も持ってないって。
二人の会話は食事中の昇子の耳にもしっかり届いていた。
☆
いつもと変わらず八時ちょっと過ぎに出発した森優と昇子は、学校まで徒歩約十七分の通学路を校則に従い一列で歩く。この時、森優が前を行くことが多いのだ。
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