エピローグ

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 ガレベーラがリビにいた当時、カトル家の家督は相続者不在で王家預かりになっていた。  継母であったカトル家夫人は、愛人と共謀してカトル家の財産を乗っ取ろうとしていたことが発覚したからだ。  先代カトル公の死因も含め、不審な点が多く見られたカトル家を、アルディウスが尽力して数々の不正をあばいた。  その結果、継母と愛人は幽閉されている。  異母妹シミラに至っては、修道院にその身柄を預けられていた。 「だから、君が生きているとなった今、カトル家は存続し、そして君が正当な後継者だ。家督も相続することになる」  王都に戻る馬車の中でそう伝えたグウィディウスに、財産なんていらない、とガレベーラは言った。  しかし、持てる者にはそれらを管理する義務があり、ガレベーラは正しくその義務を果たせることは間違いなかった。  そして、ガレベーラが果たしたい夢に必要なものこそ、その財産であった。 「君ならできること、君にしかできないことは一体何なのか、よく考えてみて」  ガレベーラは王都までの長い道のりでその現実にじっくりと向き合った。  覚悟が決まったとき、その正しい使い道を考える日々が始まった。  
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