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それもまた、突然のことだった。
父の死よりも、ガレベーラの人生を変える日であった。
「ガレベーラ!」
突然、先触もなく継母が怒鳴り込んできた。
何かよくないことが起こったのだとガレベーラは人ごとのような気持ちで継母を迎え入れた。
「今すぐお行きなさい!」
「どこへです? 今すぐ? どこへ行くと言うのです?」
「いいこと? 貴女は、すでに、三日前に辺境へ嫁ぐために出立した、のよ! もうこの家にガレベーラはいない。いいわね? 迎えが来る前に一刻も早く王都から出て行って!」
血相を変えた継母がいう意味の、ほとんどの理解できないでいた。
「……辺境に嫁ぐ? わたくしが? 迎えとはどういうことです? グウィディウス殿下がお戻りになったということですか。グウィディウス殿下が辺境に領地でも貰われたのですか」
「辺境伯の支度金が整うのを待っておりましたが、もうこうなったら後からの支払いでも構わない! 即刻、出立をおし! さすがに馬車くらいは用意してあげましょう」
「待って、お義母様! 辺境伯とはどなたなの? 意味がわからないわ。わたくしは、正式には婚約しておりませんが、グウィディウス様がお帰りになられたら一緒になりたいとお伝えしておったはずです! それはお父様がいなくなったからといって、変えられるものでは……」
「さっさとグウィディウス様に嫁いでいればよかったのよ。恨むならグウィディウス様を恨みなさい!」
「なぜ……」
「嫁に出してやろうと言うのです。どこぞへ売り飛ばされないだけでもありがたいと思いなさい」
「カトル家は生活に困っているのですか……!?」
現状が理解できず、何がどういうことなのかわからないまま、「待って! 待ってください! どういうこと? カンダール!? ミラ!?」
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