2.路上生活

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* 『できたわ、完成よ!』  ガレベーラは城内に咲いていた白い花を、手早く器用に編んで花の輪を作った。 『とても上手だ』 『ええ、わたくし得意なの。さあ、グウィディウス、頭を貸して』 『え、僕? いやだよ、男なのに花冠なんて似合わないよ』 『いいえ、あなたほど可憐な花がよく似合う王子はいないわ。まるで天使のようよ?』   『ガレベーラがかぶればいい。僕には腕輪を作ってよ』 『まかせて、お安い御用よ』 *  花束を作りながら、花遊びをしていた頃を思い出した。   街には花売りの子どもたちがたくさんいた。  ガレベーラが公女だったころから、たくさんいたのだろうが全く知らなかった。見ていなかったのか、見えていなかったのか。  もし当時に知っていたなら、全員の花籠ごと買い上げるのにと歯がゆく思うが、孤児院以外で、街の子どもたちに触れあう機会などなかった。  執事や侍女によって意識的に避けられていたのかもしれない。 「きょうもいつもより売れたね! ガレ、じょうずだもん」  額をすっきりさせたペルラが笑顔で言う。  ガレベーラがぼさぼさだったペルラの髪を編んでやったのだ。  瞳がはっきり見えて可愛らしい。   ペルラはそう言ったが、小花を二、三輪束ねただけの小さな花束は、ペルラ達が作るよりもガレベーラの方がいくぶん見栄えよく作れたという程度だ。  一日歩いて、売れたのは三つだけ。  三つ売って、ようやくパンが一つ買える。
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