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ガレベーラは、空腹でいることに少しずつ慣れていた。
ひもじく、辛いことだったが、仕方のないことだと諦めるよりほかなかった。
そして、食べ物にありつけた時は、幼い二人により多くたべさせてやりたいとも思っている。
しかし、ラナンもガレベーラとペルラを優先にして、譲らない。せいぜい、三等分に納得してくれるくらいだ。
「ガレが作ってくれる花がよく売れて、前よりパンを食べれる日が増えたよ」
そんなはずはないのに、そう言ってくれるラナンは素敵な少年だ。
「兄さま、この頃、あのごはんのところいかないね。あたし、いきたい」
「もうあそこにはいかない」
ラナンが厳しい声で言うのに、「なんでぇー」とペルラが不貞腐れる。
「ペルラ、どこに行けばそれはあるの? ねえ、ラナン?」
「……街の食堂だよ。食べ残しやごみをもらうんだ。浮浪児たちがたくさんいてるから競争だけど」
「おにくもあるんだよ! たべたい!」
駄々をこねるペルラに「もう行かないって言ってるだろ!」とラナンが声を上げる。
「どうして? 前は食べていたんでしょう?」
「……ガレは食べちゃだめだ」
ラナンは顔をゆがめて、絞り出すように言った。
「ガレは……あんなものを食べちゃいけない気がするんだ」
「どういうこと? なぜ?」
「俺、もっと頑張って稼ぐから」
そうは言っても、浮浪児の仕事はなかなかないと言うのに。
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