2.路上生活

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「やだ! 行かないで、ガレ……」  ペルラはすでに半泣きだ。  ガレベーラは跪き、涙のいっぱい貯まった目を二人の目線に高さに合わせた。無言のまま、二人と視線を交わす。  二人を置いていきたくない。幼い二人を残して自分だけ街を出ることなどできない。二人と共にこれからも暮らしたい。  連れていけるだろうか。なんとななるだろうか、この街でなんとかなったように。  否、なるわけがない。  どこにどうやって行くのか、行く当てもすらもないというのに。  ラナンが拳に力を入れ、さらに強く握った。  ベンに向かって、 「さっき聞いたんだけど、人買いの馬車が出るのが今夜だって」 「ああ、そうだぜ! そうか! ガレをあいつらの中に紛れ込ませれば……。なんて幸運なんだ! 神様のお導きってやつだな!」  ベンとラナンは二人頷き合い、ガレベーラに向き直った。 「少し待ってて。話をきいてくるよ」  そう言って、二人の少年は走って出て行った。  残されたガレベーラは、 「ペルラ、今着ている服を頂いたお屋敷、わかるわね?」   「……わかる」  ガレベーラは優しく頷き、 「季節に一度でいいから、あのお屋敷に行ったときに、グウィディウス様はお戻りですかと尋ねてみて」 「グウィ……ディウス、さま?」 「わたしの友人なの。でも今は遠いところで勉強をしていてるのよ」 「グウィ……、なんとかさまはいつかえってくるの?」  ガレベーラはもう一度、ゆっくり「グウィディウス」と繰り返してやる。 「わからないの。だから何度も尋ねてみて。いつの日か、お戻りですよと言われることがあったら、これを奥様にお渡してもらって」  ガレベーラはペンダントを外して、ペルラに握らせた。 「きれい! ほうせき?」 「失くさないように。グウィディウス様があなたたちを助けてくれるかもしれないから」  そして、身に付けていた布袋を渡す。  そこには、髪を売って靴を買った余りの銅貨がいくらか入っている。いつか、なにかのためにと蓄えていたものだ。 「それまでに、おなかがすいて死にそうになったら、これで食べなさい」
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