2.路上生活

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* 「買われて王都に働きに来ていた子どもが年季明けで帰る季節で、その馬車が出るのがちょうど今日なんだ」  しばらくして帰ってきたラナンはそう言った。 「町や村を順番にまわるらしいから、適当なところで降りればいい」   「やだやだ! いかないで!」 「ペルラ、聞き分けろ。相手が貴族なら、どこまでガレを隠しおおせるかわからない。ガレが捕まって、辛い目に遭ったらいやだろ? 遠くない村ならいつかまた会えるよ」 「ほんと?」 「ガレ、馬車が出る。急ごう」  もとよりガレベーラに荷物などないが、ラナンはどこで手に入れてきたのかパンやチーズ、そして毛布を袋に入れて、旅支度をしてくれた。  ガレベーラは別れを前に、気持ちを上手く言えないでいた。  というよりも、涙を堪えるのに必死だった。 「ガレ、俺たちのことなら心配しないで」 「でも」 「もともと二人だったんだよ?」 「……そうよね、わたしの方が十分二人のお荷物だったわよね」  なんとか笑おうと努めた。なんとか笑って言う事ができた。 「違うよ、俺たちも一緒に行きたいけど、足手まといになるから」 「違うわ、そんなことない!」  ガラベーラは二人を抱きしめた。 「ラナンたちがいてくれから、わたしは今生きてるのよ」  二人だけこの街に残すことが心配で、一緒に連れて行きたいなどというのは建前だ。  本当は、ガレベーラが二人と離れたくないのだ。 「ガレ、気をつけて。字を教えてくれてありがとう」  ラナンも必死に涙を堪えた顔で、笑った。  
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