2.路上生活

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*  馬車の荷台に詰め込まれるように座る子どもたちは、みんな貧しそうだったが、笑顔だった。  故郷に帰れるからだろう。  勝手にその中に潜り込んでいるガレベーラは、頭巾を深くかぶって、小さくなっていた。  だんだんと日が暮れていく。  馬車に揺られていると、だんだん寂しさが募り、涙が出てきた。  この先の不安よりも、あるのは寂しさだった。  ラナンとペルラは、もはや家族だった。  貧しくとも、ひもじくとも、過ごした時間は確かに幸せだった。あたたかかった。  ふと、ラナンが荷造りをしてくれたことを思いだして、袋を開く。 「え……」  ガレベーラは瞠目する。  ラナンがいつも首から下げていた小さな布袋が入っていた。 「こんな、大事なもの……!」  慌てて取り出し、中を開けると、亡くした母の形見であるはずの銀の指輪と、そして、銀貨が一枚入っている。  ガレベーラの髪の対価である銀貨だ。  二人が少しでも楽に暮らせるように、もしもの時の助けになるように、せめて銀貨を置いてこられたことで、納得し、安堵もしていたのに。  なにより、兄妹にとってこの指輪は大切なものだ。  それを質にして、必ずもう一度会えるようにと、ラナンはそう願ってくれたのだろう。  とうとう、ガレベーラは声を押し殺して泣いた。涙が止まらなかった。 「ラナン、ペルラ、待っていて……いつか」  馬車は峠にさしかかっている。
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