3.騎士団

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3.騎士団

「グウィ!」  馬から荷を下ろしていると、後ろからいきなり肩を組んでくる者があった。  同じ騎士団師部の同輩であり、親友でもあるデヴンだ。 「おい、びっくりするだろ。なんだ、西の視察の方が帰還が早かったのか」  今回の定期視察では、デヴンは西の、対して、グウィディウスは東の視察団の長として指揮を執った。 「うちは昨日帰った。もう帰ってるだろうと思って急いで帰ってきたのに、なんで東の方が遅いんだよ。待ちくたびれたよ!」  予定では昨日に東が、明日に西が帰還ということになっているが、東は一日遅れで、逆に西は一日早く、任務を終えることとなったらしい。  グウィディウスは、ひと月もの間、東の遠方まで足になってくれた相棒を何度も撫でてねぎらってから、厩番に愛馬を引き渡した。 「問題があってその処理に時間を取られたんだよ。帰還が遅れてお前に迷惑はかけないと思うけど?」 「おいおい、強行軍で団員から苦情殺到だというのに。ともかく聞いてくれよ」  早足で歩くと、腰に佩いた剣とベルトの金具が当たって音を立てた。  行く先々で、書類に署名を求められたり、指示を仰ぎに来られたり、また報告を受けたりしているグウィディウスの横にもれなくデヴンがついてくる。 「おい、デヴン」  ようやく肩にのしかかる重い腕を押しのけ、 「今、馬をおりたところなんだ。団長に帰還報告もしに行かないといけない。話はその後だ」 「そんなこと言っていいのか。一刻も早くお前に告げたくて急いで帰ってきたのに?」 「何を?」  デヴンはにやりと挑戦的に笑う。 「とうとうアタリを引いた、かもしれん」  デヴンの言葉に、グウィディウスは瞠目する。 「……聞こう」  団長室に向かっていたはずの進行方向をくるりを変える。 「はて。先に帰還報告を済ませるんじゃなかったのか」 「大きな異常はない。つまり、団長への報告は後でも構わない」 「そりゃそうだ。お前にとっちゃ最重要事項だ」  デヴンが指を鳴らし、得意気に言った。 「ガレベーラ嬢を見つけたかもしれないんだからな」  
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