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ペスロは、ガレベーラの情報を探るために出かけ、グウィディウスは一人、宿屋の二階の部屋から往来を眺めていた。
気持ちは昂っているようで、沈んでもいた。
あの少年がガレベーラだったとして、それは少なからずショックではあった。
それはガレベーラの置かれているであろう過酷な環境を慮ってのことなのか、想像していた思い出の中のガレベーラの姿とあまりに違ったことなのか、自身でも判断はつきかねていた。
それでも、やはりグウィディウスは村の人の中に今朝見た少年を探していた。
彼がガレベーラ本人なのかどうかを確かめたいのではない。やはり、ガレベーラに会いたいのだった。
どのくらい待ったか。陽は西に傾きかけていた。
主人の言った通り、少年はやってきた。
部屋のドアが叩かれ、
「だんな、ギーが来やしたで。呼び止めましょうか」
「いや、こちらから行こう」
ゆっくりと立ち上がると、革帯の鞘の金具があたって音を立てる。
この三年、いつもグウィディウスと共にあった音だ。
部屋から出ると、騎士団の制服に着替えたグウィディウスを見て、主人が驚いた顔をした。
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