4.牛飼い姫

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 ガラベーラの一日は、日の出前に始まる。  家畜には牛が三頭と、山羊が一匹、それと十数羽の鶏がいて、それらの世話からだ。  「おはよう、みんな。もうすぐ陽が昇るよ」  眠い日も、寒い日も、小屋へ行けば動物たちがガレベーラを待っているのがわかって、それはとても嬉しいことだった。  ガレベーラの所有物ではないし、言葉も通じないが、もはや家族だと思っている。  それが終われば、屋敷内の掃除と洗濯だ。午後から牛の乳が絞れた時はそれを売りに行く。  屋敷のそばには、かつて馬がいたころの厩番の小屋があって、ガレベーラはそこで寝泊まりすることを許されていた。  屋敷の主人は、親切ではなかったが、ひどい人たちでもない。  仕事は楽ではないが、こなすのが無理な量ではないし、罰せられることもなければ、金をもらえることさえある。  寝床にはたっぷりのわらと、そこには屋根と囲いがあったし、最初、人が住むにはひどい状態だった厩も自由にしてもいいと言うので、イオにかまどを作ってもらった。  寒い冬に、暖を取れることほどありがたいことはなかった。
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