4.牛飼い姫

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 騎士の顔は逆光でよく見えなかったが、かつてのガレベーラに騎士団員の知り合いがいた記憶はない。そもそも、貴族出身で騎士になるような子息はあまりおらず、いるとしても、こんな地方に遠征するような実部隊にはいない。  それでも、王城に出入りがあるともなれば、顔見知りがいてもおかしくはない。  しかし、不安は一晩だけだった。  騎士団は、もう次の日の朝早くに出立したという。  騎士階級以上の誰かと話をするのは、カトル家を追い出されてからはじめてのことだった。  またとない機会だったのかもしれない。  騎士に助けを求めれば、何かが変わったのかもしれない。  それでもガレベーラはそうせず、恐れたのは、ガレベーラ・カトルがここに生きているのを誰かに知られることだった。  それはつまり、すでにガレベーラは令嬢ではなくなっていた。  もうこの村の、『ギー』なっていたのだ。
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