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「あなたはまだ今、道の半ばなのだと私は言いましたね。さあ、今こそ目指すのです。あなたの行く先へ」
「神父様、一体どこへ行けと言うのです!?」
「あなたが行くべき場所ですよ」
「さあ、ギー。とにかく来て」
神父との話が終わるのを待っていたのか、グウィディウスがまた手を引っ張った。
声も行動もいつものような優しさはない。
「嫌だ! 嫌です!」
「大丈夫。なにもこれきりにはしないから」
「イオ、助けて!」
「え、いや……あの、それは……」
イオはおろおろと、視線の先をせわしなく動かしている。
グウィディウスは大きなため息をついて、外套のポケットから何かを取り出した。
「これを」
差し出されたのは一目見ればわかるくらいの上質な封筒だった。
「手紙……?」
「本当は落ち着いた場所で渡したかったのだけれど」
「……私、に?」
今さら、誰からの、どんな用件が書かれているというのか。
おそるおそる手に取って裏返してみると、封じ目に、赤い封蝋があり、その下の名前を見て、とうとうガレベーラはその場で泣き崩れた。
「ラナンもペルラも、二人とも君に会いたがってる」
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