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5.領主
朝焼けの空の下に馬が二頭と、グウィディウスの従者がいた。
冬の朝は、馬も人も、白い息がやたらと目立つ。
「西都まで行く。一刻くらいかかるけれど、馬で走るのは平気だろうか」
力ない様子でこくりと頷くガレベーラは、すっかり気が抜けてしまったようで、手伝われて馬上にのぼるのもやっとというふうだった。
貸された外套を頭巾までしっかりかぶり、たやすく従者に身を預ける様子に、グウィディウスが苦笑する。
「なんだか、やけるな」
傍目には、弱った、貧しい少年を保護しているだけのようだったけれど。
「では神父様、ギーをお借りする。イオ、少しの間頼まれてくれるかな」
そう言った馬上の騎士を見上げて、神父とイオはしっかりと頷いた。
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