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「屋敷って、どういうこと? 王城ではないの? ともかく、二人はあなたに会いに行ったのね? 無事に会えたのよね? ああ、よかった! でも、あなたには無理なお願いをして悪かったわ。ねえ、それより、騎士団ってどういうことなの? なぜあなたが?」
矢継ぎ早に飛んでくる質問に、グウィディウスは呆気にとられた後、しょうがないなという顔で笑った。
「僕も同じくらい、君のこの三年間のことが知りたいんだけどな」
「あ、ご、ごめんなさい。つい……」
「いや、いいんだ。僕が知る元気なガレベーラに会えて嬉しいよ」
肩をすくめてそう言ってから、「だから、ここは先に事情を知る権利をガレに譲るとする」
グウィディウスは組んでいた手を解いて、胸に手を当てた。
追悼の意を表し、
「まず、御父上カトル公のことは本当に残念だった。お悔やみ申し上げる。……それすらまだ僕は君に言えてなかったんだ」
そう言われてひさしぶりに、ガレベーラは久しぶりに亡き父を思い出した。
父の死はガレベーラにとって、もはやとてつもなく遠い過去の出来事だった。
「何度も手紙を書いたよ」
「嘘よ、ずっと待っていたのに一通も届かなかったわ」
「僕もだ。君からの便りが、ある時から届かなくなった。カトル夫人に握りつぶされていたらしい」
「お義母様が!?」
「僕がもっと早くそのことに気づいていれば、こんな事態を招かなかったんじゃないかと、何度も自分をなじったよ」
「そんな……! けして、グウィのせいではないわ」
グウィディウスはガレベーラの言葉に救われたような面持ちになって、ありがとう、と何度か頷いた。
それでもまだ自分を責め続けているのがわかり、ガレベーラは苦悩に顔をゆがませる。
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