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騎士団に入ったグウィディウスは、文字通り血のにじむような努力をした。
幼い頃から剣術の心得はあれど、嫌々やっていたことが身に着くわけもない。
大陸でガレベーラの失踪をきいてからは、居てもたっても居られず、万が一に備えて朝の稽古は再開したものの、ペンばかり持ち続けていた手に剣はなかなかなじまなかった。
ましてや新隊員は年下ばかりで、そこへ第二王子のグウィディウスとくれば、好奇の対象でしかない。
しかし、目論見通り、身分としては騎士団預かりとなったため、城の出入りを含め、行動に自由はきくようになった。
グウィディウスは少ない自由時間のすべてを捜索に費やした。
「グウィディウス様、そのように無理をされてはお身体に触ります。私が家の者に捜させておりますから、たまにはお休みください」
ペスロが止めるのも聞かず、城下の貧困街に足を運ぶ。
しかし、有力な手がかりはつかめていなかった。
捜すにしても範囲が広すぎるのだ。
グウィディウスや貴族が出歩く街などほんの一部に過ぎず、広い王都の大部分が貧困部なのだった。
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