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えらく時代劇めいている挨拶をかますシチュエーションに、いささか腰が引けた。
「これで厳家も安泰でございます」
「本邸の旦那様と奥様も、どれほどお喜びか」
恒星が立つことを許すと、「感謝申し上げます」と言って厳かに立ち上がった。まるで中国の歴史ドラマのワンシーンを見ているようだ。
アタシたちの後ろに控えているリュウが、笑いを必死でこらえている。
「これが厳家かぁ・・」
セイラが呻いた。
「先が思いやられるなぁ」
嫌な予感がする。
まさにその時だった。
白い雪に覆われた山の峰が眩い白光色に輝いた。龍神を従えた山神様が、ロッキー山脈に降臨したのだ。
銀河君に会いに来たらしい。
「遊ぼう」・・
輝きが屋敷の窓を通り越した。銀河君が楽しそうに、両手を山神様の降臨した峰に向かって振る。
また輝きが、山を包んで光った。
「銀河・・遊ぼう」
山神様は上機嫌だ!
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