23人が本棚に入れています
本棚に追加
「実は少し前にも同じような事がありまして、その時は魔術を使うやたら強い魔界の女性だったみたいですけど、今回も同じ女性かもしれませんね」
話を聞いたチエリーはピシッと固まった。間違いなくその女性はチエリーの事だからだ。サンドウィッチ騒動の時の騒ぎの事を言っているのだろう。影に隠れている執事に視線を送ると、執事は気まずそうにチエリーから視線を逸らす。
「き、きっと違う者だと思いますわ。そうだ、わたくし達もエリザ様?でしたっけ。助けに行きましょう」
「チエリー嬢は何と勇敢な人なんだ。そうですね、助けに行きましょう」
チエリーは勇敢な人と褒められているが、多分暴れているのは前と違う人だと濡れ衣をはらしに行くのだろう。
チエリー達(執事を含む)は急いで現場へと向かい、暴れている魔界の者と対面する。そこに居たのは、もちろん魔術を使うやたら強い女性ではなく、人型ではない獣型の魔獣と呼ばれる巨大な者がいた。
「ほら、今回暴れているのは魔界の女性じゃなくて魔獣みたいですね」
ほら前回と違うでしょ?と言わんばかりに魔獣を指差し違いを強調するチエリーだけど、王子にはチエリーの声は耳に入らず巨大な魔獣を前に放心状態となっている。
「エリザ嬢」
巨大な魔獣の近くに怖くて腰を抜かしているエリザがいる。それに気づいた王子は彼女に声をかけるが恐怖で足が動かない。
兵士達が大勢で魔獣に攻撃を仕掛けるがそれも無意味で、魔獣の一撃で兵士達は皆吹き飛ばされてしまった。
泣きながら助けを求めるように王子を見つめるエリザだけど、肝心の王子は足を震えさせたまま後退りしてしまう。
最初のコメントを投稿しよう!