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「わたくしのストレス発散に付き合ってもらうわよ」
容赦ない青黒い連弾はまだまだ続く。圧倒的な力の差を感じとった魔獣は戦意を失い「勘弁してくれ」と逃げ回る。
「お嬢様、戦意のない雑魚はもうこれくらいで勘弁してあげて下さい」
空に浮かぶチエリーの隣に執事がやってきた。
「何言ってるの。まだまだ暴れ足りないわ」
「しかし、あちらの二人をこのまま放置しておくのも……」
執事はそう言って視線を王子とエリザの方に向ける。チエリーも攻撃を止めて二人を見た。
「そうね。今日はこれくらいで勘弁してあげるわ」
魔獣はチエリーの攻撃を止めてくれた執事に感謝するようにぺこぺこ頭を下げて、そのまま魔界へと帰って行った。
「ふぅ」
空に浮かんでいたチエリーはゆっくり足を地につけて、王子の元へ向かう。
「チ、チエリー嬢……あなたは一体」
「わたくし、自分より弱い男に興味ないの。良い時間潰しになったわ。じゃあね、王子様」
王子にそう言うと、チエリーは空高く舞い上がり、赤薔薇の花びらを撒き散らしながら姿を消した。
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