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お嬢様は暇つぶしを求めます
「あぁ暇だわ。暇すぎる。そうだ、ちょっと地の世界へ行って暴れてこようかしら」
皇族だけが座れる立派な赤い椅子にドカッと座っているチエリー。すらっとした長い脚を組み、手置きに片肘をついて、退屈そうに大きめの独り言を側にいる執事に向けて言っている。
「お嬢様、お暇でしたらこのお見合い写真の山に目を通して下さい」
「嫌よ、興味ないわ。そんな物はさっさと捨てて……いや、良い時間潰しになりそうね」
何を思いついたのかチエリーはニヤッと笑みを浮かべる。執事は嫌な予感しかしてないが、それを表情に出さずにチエリーの話を聞く。
「何をお考えですか?」
「暇つぶしにお見合いしてもいいわよ。そのかわり……」
「そのかわり?」
「執事、あなたが相手を選びなさい。このわたくしに相応しい人材をね。まさかわたくしに雑魚男とお見合いなんてさせないわよね?」
チエリーは甲高い声で笑い出す。執事はやれやれと言わんばかりにチエリーに気づかれないほどの小さなため息をついた。令嬢のワガママに付き合わされるのは慣れているようだが、やはり面倒くさそうだ。
「分かりました。私が必ずお嬢様に相応しいお相手を探します」
「ふふ、楽しみにしているわ」
忠誠心の強い執事は、見合い写真の山を手に持ったままチエリーに頭を下げて部屋を退室した。
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