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数時間後ーー
「お嬢様に相応しいお相手を見つけました」
そう言って執事は一冊のファイルをチエリーに渡す。
「どんな男を選んだのか楽しみね」
チエリーは脚を組んだままファイルを開く。開いて真っ先に目に入った写真を見てチエリーの表情が曇り、バンっと勢いよくファイルを閉じたかと思ったら、そのファイルを執事に向かって投げた。
「何これ、地の世界の男じゃない。あんた、わたくしを馬鹿にしてるの?」
チエリーはかなり不機嫌な様子だ。執事はファイルを拾い、もう一度チエリーに渡す。
「お嬢様、確かに私が選んだのは地の世界の男性です。ですが一度詳細をご覧下さい」
チエリーはハァと長いため息を吐きながらしぶしぶファイルを開く。写真の隣に記された男性の詳細を見て、チエリーの表情が一転変わる。
「この男……」
それではファイルの中を除いてみよう。まず写真をみると、お見合い写真というよりは隠し撮りしたような写真だ。写っているのは金髪で爽やかな笑顔の男性で優男をイメージさせる。
次にその男性の詳細を見ると、地の国でトップを争う権力を持つ国王の御子息と記されている。
「へぇ、国王の御子息って事は王子様……なるほど、この男と結婚すればわたくしに更なる地位と権力が手に入るというわけね。良いじゃない。ただの暇つぶしと思ってだけど、本気でお見合いして必ずこの男をGETするわ」
チエリーの機嫌は戻り、強気な声で笑い始めた。
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