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一体どのくらいの時間が経ったのだろうか。
眼を覚ますと、再び暗闇が広がっていた。
だが、先程迄とは違う。
周囲から人の声が聞こえてくる。
俺は必死に声を出そうとするが、声が出ない。
周囲の声に耳を傾けてみると、
「…ず……と か…ぅ…と か…ず…と」
俺の名前を呼ぶ声がする。
俺は耳に意識を集中した。
すると
「和人!大丈夫?お母さんのことわかる?」
「先生、和人が眼を開けて…」
先生?一体誰のことだ。
そうか、母さんが助けに来てくれたのか。
「母さん、来てくれたんだね!ありがとう。」
「ところでさっきから周りが暗くてよく見えないんだ。」
「懐中電灯でもいいから、俺の方へ向けてよ」
助かった。それだけを感じた。
しかし、母さんは明かりを一向にこちらへ向けてくれない。
「母さん…なんで明かりを向けてくれないんだ」
「和人、さっきから何を言ってるの?」
俺は母さんの言うことが理解できなかった。
「じゃあここは一体どこなんだよ」
荒々しく叫んだ。
「ここは病院の病室よ。」
「あなたは、部屋で倒れていたのよ」
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