濁った眼

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和人くん、君は、 「失明」 したんだ。 医師は信じられない言葉を口にした。 失明。 過酷な現実に俺は吐き気を催し(もよお)た。 なんで、俺がこんな目に合うんだ。 何か悪い事でもしたかよ! 医師に問う。 「なぜ、俺は失明したんだ?」 医師は答えた。 「君の飲んだアルコールの中に、  メチルアルコール…メタノールが含まれていたんだ。」 「これはアルコールはアルコールでも、  通称、目が散るアルコール、メチルアルコールという劇物だ。」 「詳しい話は省くが、これは、薬局でも販売されてる劇物で、摂取すれば、作用によって失明するとんでもないものなんだ。」 「君がどのように摂取したのかは残念だがわからない。そして一度失明した眼を治療することもできない。」 「残念だが、手の施しようがないんだ」 医師の言葉を聞いた途端、俺は涙を流していた。 もう二度と光が見られない、その恐怖が俺を襲った。
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