第四章 嘘と真実と

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「レナス、お前は優しすぎる。そのずば抜けた力を与えた水晶の剣は、お前を守ろうと必死なのだ」  妬み、恨み、嫉み……それとは無縁の、兄弟子の言葉は嬉しかった。  血にまみれても、まだ信じられる道がある。  小さい頃に裏切られ続けた分、レナスは人の嘘には敏感だった。  刺客を斬った感触はまだ残っている。だが、盗人の罪は死に値する。  新たに血が流れる予感に、レナスは覚悟を決めてゆっくりと目を開いた。
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